「伝える」と「伝わる」はちがう。

ブラインドテスト     

  あるお茶屋さんのこだわりのティーバッグ。「いいものを詰めているのに、中々売れない。パッケージを変えたい」ということで、座談会で取り上げることにしました。座談会では、参加したモニターさんが「本当にいいわ!」と心底実感していただくことがポイントですので、進め方の作戦を立てます。      
 検討の結果、まず最初に急須で接茶をし、次にモニターさんに見えないところで、ティーバッグでお茶を入れて、ティーバッグとは知らせずにお茶を出す。そして「最初のお茶と二回目のお茶とどちらがおいしい?」と質問する、という手順にしました。
 結果、六人中三人が「二回目のお茶」と答えました。ここで「実は二回目のお茶はティーバッグなんです!」と種明かし。「えーっ、うそー。ティーバッグと思えないくらいおいしい!」と大いに盛り上がりました。


パッケージを見たら買いたくない?!

 「このお茶、いくらくらいなら買いたい?」「○○円なら出せるかな?」と話は続くのですが、ある消費者モニターさんが「今も売っているんですか?どんなパッケージなの?見たいな」と言い、実際に商品を出すと、いきなりテンションが下がりました。

 「これじゃ全然伝わらないよね?」「ポイ捨てカンタンって書いてあるけど当り前じゃん」「お店にこれが置いてあっても絶対スルーしちゃうよ」と散々なコメントです。 ブラインドテストをすれば「買いたい!」と言っていただける商品が、パッケージに入ってそこに置いてあるだけでは「まったく買いたくない」という現実。これはどうしたら良いのだろう? 難しい問題だけど、きっとどこででも起こっていそうな問題でもあります。


パッケージ以外の要素

 「どうしたら買ってくれますか?」と質問すると、あるモニターさんがこんな発言をしました。

「伝えると伝わるってちがうと思うんですよ。商品開発をして売っている人は伝えているつもりでも、買う立場の人には全然伝わらないってことはよくある話だと思うの。伝わるためには、パッケージだけではダメで、まずはお店に立ち寄ることが先決ですよね。たとえば店頭でティーバッグの試飲をするとか、お店のメインの場所にスポットを当てたり、POPの大きいのをつけて目立たせるとか、販売員のトークに説得力があるとか、色々な要素が必要だと思うんです。私なら、この座談会のブラインドテストの結果をそのままHPで中継しちゃうなあ!」
 なるほど。「伝える」という自己満足で終わるのではなく、本当に伝わったのかどうか確かめながら、色々な角度からアプローチしていくことが大切なのだなあ、と実感しました。