「きっかけ」に耳をすます

認知度は継続の力でアップ!

 「今までは、なんとなくスーパーの棚でお茶を選んでいたんですが、○○がきっかけでお茶屋さんに行くようになりました」という話が座談会で出ると、私のアンテナはぴぴっと反応します。
今年の座談会では、少数ではあるけれど「お茶屋さん回帰」というのでしょうか、この頃お茶屋さんで買うようになった、という40代女性の話がいくつか聞けました。前提条件は、普段行っていなくても「あそこにお茶屋さんがあるな」と潜在意識に残っていること。

 「ほうじ茶の香りがしてくる時がある」「抹茶ソフトがおいしい」「試飲に積極的」「陳列に日本の四季を感じる」など、「入ったことないけれど気になる」という存在であるためにも、継続により認知度を上げていく大切さが感じられました。

 認知されていると「年配の方への進物で迷った時に相談したら、とても頼りになったので、贈答品だけでなく自家用のお茶もお茶屋さんで買うようになった。量り売りで、ちょっと量をオマケしてくれるのが嬉しい!」みたいな発言につながっていきます。接点が出来たら「なーんだ、お茶屋さんのお茶ってそんなに高くないじゃん」「色々教えてもらえてオトクだわ」みたいに、中々評価は高いのです。どうやってきっかけを作るか、こちらから仕掛けるか、もしかするとまずはそこがすごく大切なのかも、と感じました。

エッジの効いた商品の力。

 「きっかけ」に耳をすますと、お茶に限らず色々な話が出ます。不景気で節約志向だからでしょうか、新しい飲食店に入るきっかけは「クーポン券」がダントツ。思わず切ってお財布にキープし、使うチャンスを待つという感じ。突っ込んで聞いてみると「日本茶は○パーセントOFF」といっても中身のグレードを下げていてもわからないから、ちょっとした消えモノ志向のオマケがついているのが望ましいとのこと。うーむ、いろいろ言いますねえ‥。

  嗜好品は「詳しいお友達のオススメ」というクチコミが多いです。この場合、なるべく商品が尖っているというか、エッジが効いていた方がクチコミにのりやすい。「赤ちゃん用の焙じ茶」とか「あさつゆっていう、とろっときれいな緑に癒されるお茶」とか「すごーいドロドロのお茶。でも苦くない」とか「熱湯でいれても旨味がある」とか「ぷんぷん匂う」とか、座談会では色々な形容詞で語られる日本茶ですが、最近は「葡萄味の煎茶」「香り立つ丸麦のマグカップ用麦茶」など、一ひねりしたものが登場します。

最後はやはりヒト?!

 けれども、やはりクチコミで一番威力を発揮するのは、販売員の魅力です。「お茶がスキっていう気持ちが伝わって来る店員さんから買いたい」「そうよねー。お茶が好きなの?お金が好きなの?って感じのお茶屋さんからは買いたくないよね」という発言まで出るのです。プロショップとしての心意気、今こそ求められているのかもしれません。