殺し文句は使い手の実感。

座談会はクチコミの場。

 座談会は究極のクチコミの場です。参加者が「○○はよかった!」「○○はスゴイ!」と語ると、「どこで買えるの?」「こういう場合でも使えるの?」「いくらなの?」と、どんどん場は盛り上がります。

 ここで語られるのは、使い手の実感です。商品を開発した人のもともとの目的とはちがうポイントが、プラス要素として語られることも多々あります。たとえば「この日本茶のティーバッグは特大サイズなので、すごく濃く出るのが気に入っているんだけど、もう一つ、使用後に流しをこするとピカピカになるってところが忘れちゃいけないお気に入りの理由。台所を片付けた後に、このティーバッグでちょっとゆっくり一服して、その後にささっとシンクをこすって、キッチンハシモト閉店ていう感じ!」というような発言には、きっと商品開発をした人が想定している以上のリアルな生活者実感があって、「それ、私も欲しい」というような連鎖反応を引き起こすのです。


引き出しを増やす!

 つまり、使い手の実感が大切ということなのですが、これは裏返せばマニュアル通りのトークでは駄目ということ。実際に座談会に出席された化粧品を販売されている方が、「研修で使用感を試しただけでは、自信のあるトークはできないので、必ず自宅で一定期間使ってみます。そこで感じたり体験したりした良い点・イマイチと感じた点を逐一メモしておくと、ものすごく販売力がつくんです」と発言されていました。たとえば、「残り香が強いのでファブリースがいらない」とか、「顔用のスクラブだけど、実は背中に使うとすごく効果があるので、友だちと温泉に行くときに持参して、お部屋でエステしたら盛り上がる」とか‥。

 これを日本茶に置き換えてみると、会社やお店で試飲をして「このお茶の製法・産地・品種は‥」というようなマニュアルを会得するところから一歩踏み出して、ご自宅でその日本茶を実際に飲み続けてみる、ということですね。そうそう、シャカシャカ抹茶のイベントで一番マグボトルを販売するのは、毎日マグボトルを携行している絶大なるマグボトル派ですもの!


強みは何か、購入者が知っている!

 そして、自分の引き出しだけでなく、一緒に働いている人の「使い手の実感」を共有して、たくさんの引き出しを作っておくことが上級者テクニック!生活者にも色々な価値観・タイプがあるのですから、引き出しは多い方が安心です。