茶寮はなあゆ(おづつみ園)

日本茶の文化を次世代へ
四季の移ろいを体感するカフェ

日本茶を通して、暮らしの文化や季節の移ろいを若い世代に伝えていきたい—。明治初年から緑茶の製造と販売を続ける埼玉県春日部市『おづつみ園』の尾堤宏さんのそんな思いから『茶寮はなあゆ』の計画は始まりました。

新規事業のための空間には、“四季を感じる”“コトを体験する”“日本文化を継承する”場所であることが求められました。設計に際して、必要とされる様々な機能や空間、素材について、打合せや視察を重ねて条件を整理し取捨選択。全体のつながりやバランスを調整しながら進めました。

木製の縦格子と季節によって表情を変えるアプローチの野の庭。木製の扉を開けると薄暗い土間、そこからくぐり戸を抜けると明るい吹抜のあるカフェスペースとこだわりの品を集めた物販コーナー。2階にはゆったりとしたソファーコーナーとセミナースペース。庭とのつながりや光の入り方、風の通り方を考慮して配置された窓からも季節によって刻々と変化していく様子を楽しむことができます。

「『茶寮はなあゆ』では30~40歳代の方が半数以上。この若い世代のお客さまを『おづつみ園』へ誘導することが未来へつながるかと思います。“日本茶をカッコよく楽しむ場”としてスタートしましたが、今では食へのこだわりが強まり、地元野菜と自家製の米、化学調味料を使わない食事を提供することで“正しい食の提案”に深く関わり始めています。そのひとつが日本茶という感覚になりました」という尾堤さん。日々進化し、日本茶文化の継承に留まらず食のあり方や地域との関わりを提案し、実践する場となっています。

茶寮はなあゆ 尾堤 宏さん

日本の四季の移ろいを、お茶を通して素敵に感じて欲しい”という想いで「はる・なつ・あき・ふゆ」からひと文字ずつ取って『はなあゆ』と名付けました。お茶を楽しむ時間と空間を提供し、無添加の正しい食を伝え、地域のコミュニティになるよう心掛けています。