土を耕す・小学生のT-1グランプリ

賞品目当てのまっすぐな情熱。

 今年で2回目の小学生向けの日本茶イベント「T-1グランプリ」を体験したくて、宮崎に行って参りました!11月16日(日)、昨晩の雨が嘘のようにきれいにあがった都城市の城山公園内「都城歴史資料館」。屋外を上手に設営して、緑美しい空間です。

 このイベントのすごいところは、一方通行の「教える」イベントではないところ!小学生自身が、受身では参加できない仕組みになっていて、その仕掛けに感動しました。それもお茶屋さん自らが知恵を絞って、手作りで作った感じが、とても素敵でした。

 まず、優勝者の賞品は「Wii」。「親はWiiを買ってくれないので、自分の努力でWiiを手に入れようと思った!」と語る小学生もいて、この「賞品目当て」というわかりやすい目標によって、小学生は参加しようとエントリーします。

 すると、3つの競技に合わせた手作りの「競技用テキスト」が3部自宅に送られて来ます。これで勉強をしてから本番に臨むというワケ。わからないことがあったら、近くのお茶屋さんに聞きに行ってね、とあり、まずはイベント前にしっかりお茶をお勉強してもらう仕掛けです。「Wii欲しさにお茶の勉強!」純粋というか不純というか、「上手いなあ!」と思いました。


事前学習が決め手。

 「茶レンジ1」が筆記問題(○×クイズですが、結構)。「茶レンジ2」はお茶の種類あて競技。「茶レンジ3」はお茶の淹れ方競技。

 ○×クイズも「鎌倉時代、お茶は長寿の薬として伝わり、一般の人も飲むことができた」などの歴史・成分・工程・淹れ方と広い範囲からの出題。しかし30問全問正解者もいるのですから、レベルはとても高いです。

 お茶あてクイズは、実際に拝見盆の複数のお茶を見て、玄米茶・白折茶・粉末茶・粉茶・釜炒り茶・深蒸し煎茶・普通蒸し煎茶・ほうじ茶などから選ぶというもの。そばで見ていると、じーっとお茶を見る小学生の目は真剣そのもの!(なんせ賞品がかかっていますから!)

 そしてクライマックスはお茶の淹れ方競技。二人分のお茶を急須で淹れるのですけれど、湯冷まし・お湯とお茶の量・茶缶のフタをすぐ閉めて、急須のフタの穴の位置にも気を配り、抽出時間・注ぎわけ・最後の一滴に至るまで、緊張の面持ちで、手を震わせながら、一生懸命淹れてくれます。おうちで沢山練習をしたんだろうなー、と、すっかり感動してしまいました。

 この3つの茶レンジを勝ち抜いた優秀者上位5名は、全参加者の前でお茶を淹れ、審査員が飲んで順位を決めます。


練習のために毎日お茶を淹れる。

 イベントの後、優勝されたお子さんと応援に来ていたお母さんにインタビューしました。「昨年は惜しいところまでいって終わってしまったんです。もちろん家で淹れ方の練習はしていったんですけれど、大人の皆さんがじーっと見ているところで淹れるのはすごく緊張してしまって上手くできなかったので、頭で考えて淹れるんではあがってしまうということで、去年のイベントが終わってから、毎日家族のお茶を一年間淹れ続けて練習を重ねました!」とご本人の小学6年生女子。お母さんは、「すっかり私よりお茶を淹れるのが上手になって!安いお茶でもそれなりにおいしく淹れてくれるし、高いお茶も子どもが淹れる方が失敗しなくて安心です」とのこと。ねっ、すごいでしょう?日頃の生活パターンを変える力があるイベントって、そうそうありませんよね!

 「小学生の部」の他に、つきそいの保護者の方たちを巻き込んだ「一般の部」も参加型の仕組み(こちらの優勝は現金3万円)。最近の座談会で、「子どもが学校で急須の使い方を教えてもらってから、家で淹れてくれるようになりました」という発言はちらほら聞こえるのですが、「まず馬を射よ!」という小学生啓蒙活動。無限の可能性があると感じました。