専門性を感じさせる試飲のお茶の選び方

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効能を感じさせる“べにふうき”
「専門性が高いと商圏は広がり、あれもこれもと欲張ると専門性がなくなり利便性の店、コンビニエンスストアと同じ土俵になってしまう」
これは、茶事記で取材したお茶屋さんの言葉です。「専門性が高い」というのは具体的にどうしたら伝えられるのかな?と思っていたのですが、試飲のお茶について「なるほど、こういう風に専門性を出すのか」と思う事例があったのでお伝えしたいと思います。
まず大阪のお茶屋さん。花粉症の季節は、べにふうきを試飲されています。スティックの粉末タイプのべにふうきをバーンと店頭の一番いい場所に出してあって、「花粉症にはべにふうき」と手書きPOP。週刊誌の記事や研究資料など「なぜ花粉症にいいの?」と問われたら答えられる資料は用意してあるのに、売り場には理屈は表現されていません。そのかわり、試飲用のべにふうきスティック1本1本には「お試し用サンプル」と書いてあります。
マスクをしたり、花粉症対策メガネをかけている人が立ち止まってPOPに目をやると、すかさず「試しに飲んでみます?お茶だから副作用の心配はないけど、効く人だと3時間くらい鼻水や目のかゆみが止まるんです。」と話しかけ、チャチャッとお湯で溶いて試飲してもらうという流れ。効果があった人は、間違いなく毎年リピーターになるので、「新茶前の店の稼ぎ頭!」とおっしゃっていました。
「べにふうきは機能性のお茶で味はイマイチだと思っているのに、若い人にコーヒーみたいに苦くて美味しいとほめてもらって複雑な気持ち」と店主さんは苦笑いされていましたが、ペットボトルを常飲している世代が茶専門店に行くきっかけにもなりますね。ポイントはバラで仕入れることだそうです。
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1本用ワインクーラーで毎日テイスティング
次にフィルターインボトルを活用して、夏の間は代表的なお茶数種類を試飲しているお茶屋さん。テイスティングイベントのような「その日だけ」ではなく、毎日継続するというので驚きました。1本用の簡易的な透明のワインクーラーに入れて冷たい温度をキープしたお茶を、売り場の茶葉の近くに置くのだそうです。無料の試飲ですが、数種類試飲して飲み比べると、茶葉もフィルターインボトルも欲しくなる、まさに茶専門店を感じさせる仕掛けだなあと思います。8種類くらいの試飲を用意しても、急須で温かいお茶を都度淹れるのに比べて経済的なのだそうです。
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抹茶や健康茶の意外性
数年前に給茶スポットのイベントで訴求した「シャカシャカ抹茶」!! 「夏はこれが看板だから」というお茶屋さんに出会い、胸がキュンとしました。あれから5年。毎年続けてくれていたんだ、と感動しました。商店街のお茶屋さんですが、店の外に出て「シャカシャカ抹茶いかがですか?」と声をかけるのだとか。温かい煎茶の試飲と比べ、若い層が足をとめる確率が高いとのことでした。
最近フィルターインボトルのパーソナルサイズを使ってシャカシャカ抹茶の試飲を始めたお茶屋さんは、「朝はパンとコーヒーの家庭が多いので、カフェオレよりも抹茶オレ。抹茶と牛乳にメープルシロップを入れるとおいしいですよ」が決め言葉なんだとか。コーヒーを飲む習慣を抹茶で置き換えるというイメージで試飲をされています。きっと「抹茶の試飲?!」というだけで、珍しくてテンションが上がりますね!
ある給茶スポットのお茶屋さんは、ティーバッグのノンカフェインの健康茶を給茶スポットのメニューに組み込むことで有料試飲の仕組みを作り、若い女性に喜ばれているそうです。健康茶、たとえば黒豆茶やなた豆茶などは、どんな味かわからないので1パック購入するのに躊躇する。でも給茶スポットでボトルに1つティーバッグを入れてお湯を注いで270円。気に入ったら1パック購入に繋がる、量販店の棚では真似できない仕掛けです。
共通しているのは、味を確認してもらうのにとどまらずに生活提案というカタチにされている部分ではないかな、と感じます。

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