第47号 お茶の堤園 茶香坊 堤昌彦氏

茶業に携わるたくさんのガンバル人の中から、 
とびきりの頑張りやさんをご紹介するこのページ。
今回ご紹介する茶香坊は、前橋・堤園様が、
2年前にスタートされたとてもおしゃれなお茶専門店。
マネージャーとして茶香坊を立ち上げられ、
順調に育てられている、堤園三代目の堤昌彦氏に
お話をうかがいました。
お茶の堤園 茶香坊
マネージャー 堤 昌彦氏

穏やかな語り口の中に、秘めた闘志を感じさせる。
「お茶の演出家」と名刺にある。
●お茶の愉しみを届けたい。
このお店を出すまでに、社長と二人、二年ほどかけて、全国の色々なお店を見て歩きました。話題になったお茶屋さんも、自分がお客様の立場でお店に立ってみることが大切と、必ず現場を確かめました。最も刺激を受けたのは、「本物のリーフを売る」という筋が一本通っている、あるお茶屋さんでした。企業としての基本姿勢が明確であることに、大変共感したのです。
もともと、堤園は小売ではなく、卸として商売をしてきました。仏事・量販店の棚段等、お茶を商ってはいても、消費者は遠い存在だったのです。しかし、量より質の時代が来ると確信していましたし、一人十色とも言われる多様化する消費者ニーズに応えていくためには、消費者と直にふれあう販売ルートを確立したかったのです。
現在私は三十二歳なのですが、二〇代は吸収の時期、と決め、色々な職業を転々としました。食品商社に始まって、ブティックの店長・水商売・リゾートホテル等、何故か接客業が多かった。そんな経験も、お客様と対面して心と心を通わせながら、一杯のお茶の愉しみをお伝えしたい、という思いに通じているのかも知れません。
いい意味で期待を裏切りたい。
●お茶の奥深さを知る。
実は私、島田のカネ松製茶さんで三年半、修行させていただいたんですよ。それまで、お茶に関して素人同然だったのですが、本当に色々なことを教えていただきました。
産地・品種・製法…。お茶とは、こんなにも奥が深いものか、と感動しました。
最新式の大型の機械はあるのですが、内蔵されているコンピュータだけに頼っていては、品質は安定しないのです。摘採の時期・天候等によって、微妙にお茶は変化する。その生葉の表情を、五感を働かせて感じ取ることが、お茶作りの出発点なのですね。「職人の匠の技」が脈々と受け継がれている。カネ松の社長に「2回まで失敗してもいいが、3度目はダメだ。」とよく言われましたが、そうやって任せられ、プレッシャーも感じつつ、成長させていただいた。感謝しています。
この時の経験が、茶香坊のバックボーン。気軽に、でももっと深く美味しく…。基本はリーフ。その愉しみを、しっかりお届けすることを、肝に銘じています。

店内には、ワンコインの一煎パック。

チーフの柿本氏を中心に、息のあったスタッフ。

店内と微妙な位置関係で、正統派の和の空間を感じさせる茶室「優想庵」。 
10gからの量り売り。
味・香りの指標もビジュアルで。
●モノではなく、時間と空間を提供する店。
この辺りは、十年前は畑だったんです。それが駅南地域の区画整理ということで量販店も出店し、人の流れが変わりました。喫茶室は四〇席、茶室は十畳、売り場面積五〇坪という広さは、田舎ならではですが(笑)、物販としての店ではなく、「お茶を愉しむ空間と時間を提供する店」というコンセプトを実現させるためには、大切な要素だと考えています。
格式ばった和風ではなく、カジュアルな和というのかな、初めてでも入りやすい雰囲気。私自身、店でも人でも商品でも、いい意味で期待を裏切る「ギャップ」に惹かれる。見た目は軽いけど、中身はしっかりしている、といった感じが好きなんです。
店員はすべて正社員。お店に入ってきたお客様には、買っても買わなくてもお茶をお出しします。和菓子も、甘味も扱っていますが、あくまでもリーフの脇役、というポジション。十グラムからの量り売りで、必ず試飲していただく。お客様のご要望によっては、その場でブレンドもします。
「高い方がおいしいの?」とか、色々なご質問がありますよね。そういう時、どれだけ丁寧にお客様に向き合うか、ということが、プロとしての真髄だと思います。例えば、価格に関しては、「価格は相場の目安です。ですから、お客様がおいしいと感じるかどうかがあくまでも基準。」と説明し、試飲していただいて、好みのお茶を発見していただくように心掛けています。

選ぶ楽しみも提供するギフト

●お茶を選ぶプロセスを愉しむ。
正直言って、スタートから一年は、苦しかったですよ。閑古鳥が鳴いていた(笑)。二年目に入ってからですね、OLやカップル、主婦のグループ等、週末は九台の駐車場が足りない、という嬉しい悩みが発生するようになったのは…。初売りの福茶箱(五千円・一万円)も、一年目は全く反応がなかったように思えたのに、二年目には開店前に行列が出来ていて、自分でも信じられませんでした。今でも、一日一人は新しいお客様がいらっしゃいます。高崎や太田等、地元以外のお客様も、口コミでいらっしゃる。リピーターも多く、「お茶を選ぶプロセスが愉しい。」と評価していただいています。
店内は、季節に合わせて年に四回リニューアルします。「喫茶去会」というクラブでも、玉露の飲み方教室等、気軽に参加できるイベントを仕掛けていますし、最近では雑貨屋さん・飲食店さんから、「自分のお店でお茶を扱いたいので、プロデュースしてくれ。」というようなお声もかかるようになり、予想以上の広がりです。
今後の抱負ですか? 固定観念を打破しつつ、基本をきっちり押さえて、店も私も、もっともっと成長していきたいと思っています。
店内。 店内。
茶香坊〈六供店〉
〒370‐0804 群馬県前橋市六供町1-389
TEL 027-260-9181
FAX 027-260-9182
URL http://www.chakoubou.co.jp/
堤園〈本社〉
〒370‐0804 群馬県前橋市六供町1081
TEL 027-265-3215
FAX 027-265-5385
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