どこに軸足を置くか?

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フィルターインボトルは手づくり
今年の座談会でフィルターインボトルの飲み比べをした時に、「これ、とってもカンタンでしょ!」と言うと、なんとなく座が白ける、という経験を何度かしました。急須で毎日お茶を淹れるハシモトにとったら、お茶葉の量だけケチらなければ、放っておいて出来てしまう水出しのお茶は、とってもカンタン! だって、上手にお茶を淹れるための三大条件である「茶葉の量」「お湯の温度」「浸出時間」の中で、たった一つ「茶葉の量」だけ気をつければいいんだから、という感覚なのに、消費者の方には響かないんです。
そしたら、出産三年以内の30代中心の座談会で言われたんですね。「カンタンと言われるとムカつく。だってペットボトルに比べたら、全然カンタンじゃない。むしろ手づくりそのものじゃん!」って。
目からウロコでした。軸足を急須に置いているから、フィルターインボトルで作る冷茶を「カンタン」と言ってしまうけど、ペットボトルに軸足を置いて考えたら、フィルターインボトルは「手づくり」で「本格的」なんです! なので、「手づくり冷茶」という表現で既製品を作ってみました。(シール)(のぼり)
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ティーバッグは本格的
これはティーバッグについても言えることで「ポイ捨てカンタン便利」みたいな話をした時に、「ペットボトルなら捨てるモノなんか出ない。ポイ捨てしなきゃならない時点で、便利じゃない」と喝破されたこともあります。逆にこの時の座談会では、ティーバッグは「二煎めを出すことが出来るから経済的」とか「香りがいい」とか言われたんですね。軸足を急須に置いていると、「割高」で「味が落ちる」ティーバッグが、ペットボトルに軸足を置けば「経済的」で「本格的」になるのです。
ティーバッグギフト、紅茶では当たり前だけど、日本茶ではまだまだマイナーな存在。それは、売る側が「急須がおもてなし」「急須が正統」「急須ではないと失礼」と、急須に軸足を置いて商品開発をしているからかもしれません。
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水出し煎茶は麦茶パックの緑茶版?!
他にも、どこに軸足を置いているのか、自分とちがう感覚にびっくりすることは多々あります。
ペットボトルをいつも購入している人は、焙じ茶や玄米茶が煎茶よりも安い、という感覚がありません。だって自動販売機で同じ金額で購入しているから。
「水出し煎茶」について座談会で話した時にも、いつもスーパーの安売りで購入している人は、「水出し煎茶って緑茶のペットボトルを安く作るモノでしょう?」とか「麦茶パックの緑茶版」と表現していました。水出し煎茶が「安くて美味しくないモノ」と思い込んでいる人に、単に「水出し煎茶」と言っても響かない。工夫が必要だと思います。今回「ひんやり冷やし緑茶」「ひんやり冷やし焙じ茶」とネーミングした既製品を出したのも、従来の家庭消費の「水出し煎茶」と一線を画したいと考えたからです。
一度、自分の思い込みを取っ払って、自由に、タガを外してイメージを広げてみること。そこから、わくわくするアプローチが見つかりそうな気がします。