試飲を戦略的に考える?!

日替わり試飲の店内告知

お茶屋さんに対するイメージというのは、ずっと座談会でヒアリングしている項目です。「入りにくい」「高そう」「買わないと出られなさそう」という意見は、茶専門店に行ったことのない人から出る代表的な意見なのですが、今年の座談会では「実際に行ったら全然ちがった!」「ファンになった!」という人に特に着目しました。
一番印象的だったのは、静岡の20歳の大学生。大学の授業の一環で「お茶を調べる」ことになり、事前にアポをとってお茶屋さんに上陸。そこで、何種類ものお茶を試飲させてもらって「こんなに違いがあるんだー。お茶の世界って深いんだー」と、すごく面白かったと興奮して話していました。これは「スーパーでは経験できないこと」と、その時に好きだったお茶を1袋ずつ購入して制覇しているそうです。単にオススメのお茶を1種類試飲できるのでは、飲み比べられないから奥深さがわからない。「どれでも試飲できます」と書いてあっても、自分だけのために試飲させてもらうなんて厚かましくてできない。そんな中で出たアイデアは「1週間の中で毎日ちがうお茶を試飲」というもの。ファミレスの日替わりランチのメニューみたいな感じで、1週間の試飲茶をあらかじめ店内に貼っておくことで、曜日を変えて来店すれば、7種類のお茶が楽しめる。心理的な負担なく、お茶の奥深さを知ることができるというアイデアでした。
テイスティングイベント
イベントでの飲み比べについては、当社が応援させていただいている金子園さんのテイスティングフェスティバル(2010年は11月3日に開催)の口コミが出て、「おお!」と内心小躍りする場面もありました。他にも「お茶とは関係ない東京の大規模な展示会での日本茶の飲み比べ」「静岡空港でのイベント」「紅茶屋さんの大規模試飲会」などなど、お茶屋さんから半歩外に出て、販売目的と感じさせないお茶の紹介は、リラックスした気分で日本茶を見直すきっかけになるらしく、東京・静岡・神戸などで、複数のプラス発言が出ました。
今年の、京都のお茶屋さんでのイベントでは「シャカシャカ抹茶」「フリフリ贅沢ティーバッグ」を飲み比べて投票してもらうことをやりました。若い子や外国人旅行客が興味津々で寄って来ることに驚き、会話が弾むことが発見でした。「投票してあげている」という気分になれるので構えなくて済む、という感じです。二つでもいいから店頭で飲み比べて投票する仕組みが作れたらいいのになあ、と妄想してしまいます。

敷居は下げずに、踏み台を作る!

そこで気が付いたこと。私はずーっとお茶屋さんの「敷居を下げる」ことが大切と思い込んでいましたが、飲み比べる楽しさにこれほど反応するとすれば、色々な製法・産地・品種の楽しみがあるという多様性の敷居は下げない方がいい。その敷居の高い世界に踏み入らせるための「踏み台」こそが必要なのかもしれない、と感じました。
そう発想を変えてみると、やはり「伝える方法」「伝わる仕掛け」が大切です。もっと頭を柔らかくしたら、可能性はまだまだ広がる気がします。