家庭の不良在庫を一掃させる仕掛け。

消費者の押入れには不幸のお茶がいっぱい。

9月6日、消費者ではなくお茶屋さんの座談会をしました。茶事記で紹介している「消費者の座談会」を見たお客様から、「エリアのバッティングしないお茶屋さん同士の座談会をしてみたい」とご提案いただいたのがスタート。誌上で募集させていただき、神奈川・埼玉・茨城・三重・大阪から6名のお茶屋さんにご参加いただきました。
皆さん、現状打破のために色々がんばっていらっしゃって、「へえええええ」とか「なるほどお」という場面が多々あったのですが、特に印象に残ったのはストックのお茶に対するアプローチでした。
今までの消費者座談会でも「いただきもののお茶が沢山あるから買わない」人のボリュームが増えていることは感じていましたし、「おいしくない(好みでない)お茶が茶缶の中に入っていると飲む頻度が激減する」という発言にもたびたび遭遇してきたし、仏事のお茶がおうちに沢山在庫されているのを「不幸のお茶が押入れに詰まっている」と表現する消費者もたくさんいました。でも私、単に問題意識を持っているだけに留まっていたのです。
日本茶買い取り制度?!
その問題に対する取り組みについて、お茶屋さんの座談会で聞くことができました。
一つは「日本茶買い取り制度」。1g1円で買い取るという制度です。
キャッシュバックではなく、その買い取った金額で新しくお茶を購入できるという方法で、スタートするや否や「エコロジー」「消費者視点」と、地元のマスコミにも取り上げられました。画期的ですものねー!
最初は「同業者が売りに来るのではないか」など心配ごとは山積みでしたが、実際にフタをあけてみると、リュックを背負い両手に大きな袋を提げた女性が「本当に買い取ってくださるんですか?」と敷居を跨いでくださって、8キロのお茶を買い取り(8千円)、3万円の新しいお茶を購入して帰られるということも頻発。ものすごい反響だったそうです。課題は、買い取ったお茶の再利用方法。賞味期限が過ぎたお茶も、開封しておいしくなかったという理由で放置された輪ゴムでぐるぐる巻きにされた茶袋も引き取るので、もちろん食品としての再加工は不可です。店内の茶香炉用では、なかなか追いつかないとのことで、枕などに入れるハーブのように雑貨として販売することも想定していらっしゃいました。

日本茶リサイクル!?

もう一つは「日本茶リサイクル」。「気に入らないお茶があったら、持参してください。お好みの方法で加工します。」という方法です。焙じる手間賃は100g50円。抹茶入りへの加工は100g100円。抹茶入り玄米に加工すると100g150円という価格設定とのこと。
買い取りもリサイクルも共通しているのは、ストックのお茶を消費させるためにこちら側から仕掛けていらっしゃること。このようなサービスをすることで、「あのお茶屋さんはそこまでしてくれるわよ」と口コミされ、新規のお客様のご来店のきっかけにもなるとのこと。やっぱり現場力ってすごいなあ、と感動しました!