微差は大差に通じる!?

カンタン便利VSまるごと健康

 粉末緑茶のヘビーユーザーは、お連れ合いを亡くされた年配の一人暮らしの女性が多く、来客時に急須を使うのは厭わないが、一人の時には茶殻の出ない粉末茶。それも個包装ではなく、「ゴミが出なくて、分量を調節することで味の加減ができる」チャック付スタンドパックの需要が多い。そして「カンタン便利」という謳い文句には抵抗があって買いたくないが、「緑茶まるごと健康です」というキーワードなら大満足で手を伸ばす。

 以前、そのような座談会のご報告をこのページでした記憶があるのですが、それって便利を打ち出すか、健康を打ち出すか、という「ほんの小さなちがい」が商品を購入する時のハードルになったり促進剤になったりするということですよね。そのような「微差が大差に通じる(ちょっとオーバー?!)」という部分、小さくて見逃してしまいがちですが、もしかすると「買いたくなるか否かの大きな分岐点」なのかもしれません。

抹茶はコジャレたフリカケ?!

 たとえば抹茶。今年の座談会の旅では、シャカシャカ抹茶の実演と試飲をしたのですが、「今まで抹茶は買っても使い切れなくて、冷蔵庫の奥に眠っている」という発言がちらほら。えーっ、そうなんだー?そもそも、どういう時に抹茶を買おうと思ったの???

 「自分にお点前」という人もいますが、圧倒的に多いのが、クッキー・ケーキなどのお菓子作りを目的に購入した人。そうそう頻度があるわけではないので、そのまま冷蔵庫の奥へ、という道を辿るらしいのです。そんな時に出た意見が結構面白かったです。い・わ・く‥、
「お料理用とかお菓子用とか、堅苦しく考えるからダメなのよ。コジャレたふりかけくらいの気持ちで、アイスやヨーグルトにふりかけちゃうの。100円のバニラアイスが、確実にランクアップするからねー!お客様にちょっと鼻が高い感じになるわよ!」

  へええー。その後、座談会では、「ダマにならないか?」「茶こしを使えばサラサラよ」「どのくらいの分量が適切か?」「下のバニラが見えないくらいにふるとおしゃれじゃないから、ちょっと少なめがオススメ」なんて感じで盛り上がりました。

具体的でリアルなシーンが決め手。

 そして大切なのは、「お料理用」「お菓子用」というざっくりとした訴求ではなく、さらさらトッピングする、シャカシャカとマイボトルでシェイクする、という具体的でリアルな使うシーンのイメージです。商品開発で迷ったら、近くの女性(買ってもらいたい世代)を数人集めて、こういうちーっちゃいけれど生活感溢れる体験談を聞くことをオススメします。

 「料理用抹茶」と「トッピング抹茶」は、商品としたら「微差」なのでしょうけれど、消費者が受ける「私もやってみたい」というイメージ喚起力には「大差」がある。ここの部分をどう掘り下げるか、まだまだ日本茶は未開拓で沢山の可能性を秘めていると感じています。