モノが売れるのではない。人が買うんだ!

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「伝える」と「伝わる」はちがう。
1月末から3月にかけて、鹿児島→福岡→嬉野→静岡→東京→京都→東京(大雪のリベンジ!?)→仙台と、展示会の旅が終わりました。今年は「ジャパネットのようだ」と自分たちでも苦笑しつつ、「この商品を購入していただけたらこのポスターやポップを差し上げますよ」と売り場提案まですることを心がけて勉強会をしました。
世代交替をされたお茶屋さんには大変好評で、「一億円の価値があります!」「最近の吉村さんのカタログは売り場提案まであるので付箋をして熟読しているが、やはり現物と作った人のトークの説得力はちがう!」「飲みきりのメッセージ袋」を店頭に置いたら、ほんとうに若いお客様が増えたので、次は【心の母】売り場を提案のまんま作ってみたい」「フィルターインボトルを急須のかわりに提案するという発想は目からウロコだった!未来が見えた!【手づくり冷茶】コーナーを店舗の一番目立つ場所でやりたい!」と、アンケートの熱いメッセージに私たちも励まされました。
1時間の勉強会の中で(東京の組合さんの展示会のみ30分バージョン)聞いてくださっている皆さんが身を乗り出すのは、買うきっかけのコンセプトの説明より、パッケージの説明より、仮想の売り場を実際に陳列して作っていく時です。「伝える」ことと「伝わる」ことはちがうのだということを実感する瞬間でもありました。
「新茶の時間を贈る」と「新茶を贈る」の差
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売る側が「伝えた」と思っていても、買う側には「伝わっていない」ことが多いのです。一度伝えたから伝わっているだろう、というのはNGで、何度も何度も、手を変え品を変えて繰り返し伝えて、ある日突然「あっ、そういうことね」と腹に落ちる。私たちがお茶屋さんに伝えるプロセスも同じで、「カタログに書きました」「営業が言いました」「サンプルを渡しました」だけでは伝わらない場合が多いのだなと思います。
たとえば、母の日のしおり。展示会でお茶屋さんから「うちの新茶は遅いからね、母の日に新茶が揃うかどうか微妙なんだよ」「うちは特産の和菓子を母の日には押し出すのよ。新茶と書かれない方が使いやすいわ」など、買わない理由をお伺いしました。そんな時に、「新茶最盛期ではないので、母の日の新茶と謳うのが不安なんですね。このしおりは、【新茶の時間】を贈ります、というコピーなので、ほんの少量の新茶をお菓子と組み合わせることで母の日ギフトにできますよ」とか「和菓子の方がボリュームがあって差別化しやすいので、母の日には和菓子を押していらっしゃるのですね。和菓子はそのままで、飲みきりの新茶を加えるだけで、和菓子というモノの贈り物から新茶を和菓子と楽しむ時間というコトの贈り物に広げるお手伝いができるんじゃないかなと思うんです」とお伝えすると、パッと購入する決断をされることが多かったのです。
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買うヒトのココロを動かす!
「使いにくい」とモノを否定されると「使いやすい」ようにモノを変えようと思いがちです。今までの当社だったら「新茶の時間と書かないで、単にカーネーションの花束に変えよう」と発想したと思うのです。けれど、「新茶を売りたい」「少しでも新茶を買って欲しい」「そのためには新茶というモノではなく、新茶を飲む心穏やかで豊かな時間というコトを伝えて手にとってもらわなければ」と念じて作ったモノであるからこそ、買うヒトの心を動かそうと会話が深くなります。
珈琲やワインは、もともと日本人に飲まれていなかったモノだからこそ、伝え方が磨かれたのかもしれません。逆に日本茶は説明しなくても誰でも知っているモノだったので、伝える工夫がまだまだ改善の余地があるのかもしれません。皆さんと一緒に、消費者の方に届くまで、伝える知恵と工夫と試行錯誤をしていきたいと思っています。

motherreicha