積極的な経営で明日を拓く企業と経営者をご紹介するこのコーナー。今回は掛川の丸山製茶株式会社の丸山勝久社長の登場です。ご自身が入社した三十一年前には家族経営だった会社を、五つのグループ会社を含めると百三十名を超える企業に成長させた勝久社長。早い時期に通販「お茶の里 足を運ぶ専門店「茶菓 以外の作物に取り組まれ、他にも和菓子製造「北辰たちばなや」、ギフト包装やシール貼りなどの軽作業のための障がい者就労支援事業「きらら上内田」、ロンドン現地法人での日本茶カフェの店舗運営、輸出、インバウンド、紅茶・フレーバーティ専門のブランド「権限をセットで渡し、社員一人ひとりの当事者意識を育む経営姿勢があり、その相乗効果にワクワクする取材でした。tea pease!」など、その挑戦のスピードと視野の広さは加速するばかりです。次々と構想を実現する根幹には、責任ときみくら」を本社に隣接して創り、「農業生産法人 まるやま農場」では後継者のいない耕作放棄地で茶城南」を立ち上げ、わざわざ丸山製茶株式会社●「鑑定開発室」は一階が鑑定場、二階がプレゼンテーションルームとなっていて驚きました。従来の拝見場のイメージ一新ですね。クローズアップ・ピープル経営者登場48もともとは事務所の隅っこに拝見場があって、壁に向かって鑑定していました。これを「見せよう」「見せて価値を伝えよう」と考えたのです。日本人は「いいものを売っていたら自ずと価値をわかってくれる」という考え方をしますが、それが日本茶低迷の根幹にあるのではないか、売り手の考える「いいもの」と買い手が考える「いいもの」にはズレがあるのではないか、という気がしてならないのです。例えば「原価と販売価格の差が少ない」とよいものだという認識がありますが、本当にそうでしょうか?価値を伝えるための工夫をして、原価との差が大きくても喜んでお金を払っていただくことこそが商売では大切ではないかと思います。鑑定場は官能検査と意見交換と交流の場であり、その場で検査機による科学データの裏付けも取得できます。広々としたミーティングスペースを2階に用意したのも、購入するお茶の価値をどのように伝えるか、お客様と一緒に作戦を立てるところまでをご提供したかったからです。海外で茶師の地位は高いのです。高級車に乗り、パリッとした背広を着て、仕立てのいいワイシャツといい靴を履いて威厳がある。社長だと思ったら代表取締役社長 丸山勝久氏十年先を見据えて、今着手する。将来の儲けの種を蒔くのが経営者の仕事。l3勝久社長。昭和35年生れ。「価値を伝える時に、国がやること、県がやること、市がやること、個人で取り組むことを整理した」と謙虚におっしゃるが、掛川茶ブームの陰の立役者の一人だ。鑑定開発室のパンフレット
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