現代の生活様式に相応しい最高級のおもてなしのお茶。ロイヤルブルーティージャパン株式会社代表取締役社長 吉本桂子氏異業種の取り組みから、茶業のヒントをお伝えしているこのページ。いつもとちがう角度から茶業を考える、そんなきっかけにしていただければ幸いです。今回お話を伺った吉本桂子社長は、フリーのグラフィックデザイナーを経て2006年に高級茶を自社一貫開発・製造・販売する「ロイヤルブルーティージャパン株式会社」を、代表取締役会長の佐藤節男氏と設立。非加熱除菌による独自の茶抽出法を確立して商品化され、翌2007年に「ROYALBLUETEA」を正式に発売されました。原材料は手摘みの茶葉と水だけ。3~7日間、手間と時間をかけて抽出されます。価格は750㎖で2800円から3万円。最高級の1本30万円のボトリングティは完売しました。JALのファーストクラスや、伊勢志摩サミットのウェルカムドリンクなど、淹れる技術がなくても、至高の高級茶が味わえるおもてなしの高級茶のブランドを確立し、選ばれているのです。●ワインのようにお茶を愉しむ●ソムリエのように価値を伝える もともと藤沢で創業されたが、事業の拡大に伴って茅ヶ崎に工場を移転した。国道一号線沿いを選んだのは、「お茶壺道中」を意識してのこと。おもてなしの文化を掘り下げ、現代の様式に置き換えるデザイン的思考こそが吉本社長の強みだ。「茶の様式は権力者によって変遷してきました。宋の抹茶、日本に渡ってすすり茶、抹茶から急須で飲む散茶へ。お茶の全体の歴史から見れば、急須の文化はほんの最近のことです。信長も秀吉も家康も、権威権力の象徴としてお茶を使ったし、偉い人しかお茶を愉しむことは出来なかった。一方でどんな山間僻地であっても丹精こめた茶園経営で一番を目指すことの出来る平和産業でもあるのです」「現代の食文化や生活様式にあったペットボトルのお茶の登場。これは素晴らしい変化だと思います。しかし一方で、日本茶のおもてなしや権威というものが失われてしまいました。たとえば国際線のCAの本業はお客様を安全に目的地に運ぶことです。今日初めて搭乗したCAであっても、誰がサービスしてもグレードの高いおもてなしが短時間で出来ること。その結果、お酒でなくてもリラックスや贅沢な時間を提供することが当社の目指している市場です。」新工場には有料でテイスティングが出来る「ROYALBLUETEACHIGASAKIBOUTIQUE」が併設されている。カウンターに座って、流ちょうな日本語でそれぞれのボトリングティを解説してくれる外国人スタッフ。「このお茶は標高何メートルで採れる」「天竜茶の茶園主太田昌孝氏のお人柄を語るエピソード」店内への導入ブティックに至るエントランスデザイン的思考、起業家の魂を感じさせる吉本社長。13異業種に学ぶ45
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