困ったのはベーコン。化学調味料の入っていないベーコンが見つからない。最初はクックパッドを見て自ら作った。塩をして熟成させて燻製して、十日かかった。旨いがこれを毎日自社でやるのは難しい。そんなある日、埼玉県の農林関係の職員との会話の中で、埼玉県内で養豚し無化調でベーコンを作る、夢のある養豚農家を紹介される。そしてパン。スーパーに並ぶのは、美味しいものほど添加物まみれ。自然なパンは売っていない。そんな時カフェのお客様に「春日部においしいパン屋さんが出来ましたね」と言われて訪ねたら、全粒粉と天然酵母のパンに出会うことができた。食への想いで店主と意気投合し、試作を幾度も繰り返し、厚みもサイズも配合もカフェ『はなあゆ』専用のパンを調達することができた。トーストすると、外はサクッと、中はふんわり、そして噛むほどに味わい深いパンだ。マヨネーズは大手メーカーのカタログの二百種類あるラインナップの中から唯一の無化調のマヨネーズ。そして社長イチオシのフランス産のマスタード。たった一つのメニューに対して、これだけのこだわりと、人とのつながりがあるのだ。メニューを見ても声高にこだわりは書いていない。「どうしてこんなに美味しいの?」との質問に答えて、「やっぱりね」と後からわかる、そんなカフェが尾堤流だ。「日本茶カフェというよりも、正しい食を伝えるカフェ。その正しい食の一つが無添加の日本茶という感覚です。昔から続いているものに悪いものはないと思うんですね。たとえば茶、酒、米、醤油、味噌。その良さを今私たちは忘れていないかな?ということを問いかけたいんです。便利、簡単、安い、手軽、目新しさ、そういうことに振り回されて、歴史を超えて伝わってきた日本の食を手放そうとしている危機感があります」最近は「お茶を基点に正しい食について語ってくれ」という講演依頼もある。日本茶を茶葉ではなく時間・空間として伝える一方で、正しい食の伝承という未来的な視点で日本茶に新しい光を当てる。さてお茶摘み体験教室は、春日部商工会議所を通して集まった熟女グループでてんやわんや。茶摘み体験をしている茶畑で参加者が拡散しないように会長がお茶のクイズを出し、正解者にはプレゼントを進呈する。「お米にはあきたこまちとかコシヒカリなどの品種があります。●正しい食の伝承。●継続が生んだ研ぎ澄まされたオペレーション。店内の手書きポップも描くリーダー格のスタッフ。おづつみ園が大好きであることが伝わってくる。店内の物販スペース。スタッフは明るい! 抹茶どら焼き作業中におじゃました。西口ふじ通り店店内2階にはソファスペースとセミナースペース。ゆるやかにつながり、多目的に活用できる。フィルターインボトルにも「はなあゆ」のロゴ。2階から1階を見る。厨房を見る。細部に神が宿る。階段と小部屋。5
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