胡あぐら坐をかいた型を変えただけの売り方販売額も販売量も11年連続日本一ですが、有明で海苔の養殖が始まったのは昭和28年のことです。浮き流し式ではなく支柱式の養殖が可能で、干満差によって海苔が海から出て空気にさらされます。その結果、柔らかくパリッとした口どけが特長。この素材の素晴らしさを知っていただくきっかけをどう作るかが、我々の使命と考えています。はい、最も後発の産地です。今でこそ有明海は遠浅なので、他産地のような今までの海苔の売り方は伝統文化にでした。全型、半分、四分の一、醤油とみりんで味をつけるかつけないか、それだけです。中国や韓国海苔との価格競争ではかなわない。コンビニのおにぎりの海苔が美味しい海苔の基準になっている。こういう現実の中で、素材の良さや素晴らしさだけでは生き残れないと思うのです。やはり食べていただく体験は、言葉で説明を重ねるよりもずっと伝わります。けれど、ただ食べていただくだけではダメ。そこにワクワクや驚きがなくては。手まきごはんは、手まき寿司とちがってとても手軽で自由なんです。まず酢飯がいらない。冷蔵庫の残り物でオーケー。四切の海苔にスプーンでごはんをちょこんと載せて、その上にポテトサラダでも、缶詰でも、昨日のおかずの余りでも、何でも載せて自由に巻く。実際にイベントをすると、お子さんたちは目を輝かせて夢中ですよ。その子の個性が出て、色んな具材をどんどん盛っていく子もいれば、一つずつ慎重に試す子もいて面白い。そして、海苔のパリッという食感! 「あれ、こんなに海苔っておいしかったの?」って笑顔が溢れます。イベントをやると、お母さんに大好評。そもそもは量販店の棚で「海苔ならみんな同じ」「だから出来るだけ安い海苔を」という買い物をしてきたお母さんが多いのですが、「夏休みの子どもたちのお昼ごはん、これなら子どもが勝手に楽しむ素晴らしい素材との出会いのきっかけづくり佐賀県有明海漁業協同組合事 江頭忠則氏異業種の取り組みから、茶業のヒントをお伝えしているこのページ。いつもとちがう角度から茶業を考える、そんなきっかけにしていただければ幸いです。今回ご紹介する江頭参事との出会いは、第41回日本茶業関東地区協議会総会でした。神奈川県茶業青年団が新海苔キャンペーンで結んだご縁で、「美味しい佐賀海苔」という演題で講演をされたのですが、無難な演目と異なり内容は「海苔の消費動向の分析」「PRと食べ方提案」「ギフト市場のとらえ方」と、いかに海苔を伝え買っていただくかの示唆に溢れたものでした。「様々な海苔産地があるので少し躊躇もあった」と神奈川の幹事の方たちは心配されたそうですが、同じ日本の伝統食材として日本茶との共通課題も多く、「上質な食材をどう伝えるかのヒントをもらった」と好評。茶事記で広くお伝えしたくて、早速有明の直販所へと現場取材に飛んだのでした。●有明は後発の産地なのですね?●「素材が素晴らしい」だけでは伝わらないということですね?●「手まきごはん」も伝える工夫の一つですね?直販所のギフトは詰め合わせ自由。チャック付スタンドパックに入った佐賀丸。味・塩・焼の三種類。パーソナルギフトに人気。アツイ行動派、江頭参事。2014年12月にオープンした直販所を背に。13参異業種に学ぶ42
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