茶事記73号WEB用
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●ビジョンを共有して任せる●社員の現場力●物語を紡ぐ目指しているのです」今後、収穫体験ができる秋保わくわく農園、三世代利用を想定したレストラン、お菓子工場、十年十五年の歳月をかけて秋保ヴィレッジは変化し成長し発展していくのだ。五百八十坪のアグリエの森のスタートは、社員の踏ん張りなしには実現しなかった。アグリエの森ブランドの新商品の数は三百種類を超え、今も改廃を繰り返し進化している。フードコートもジェラートなどデザートを楽しむ「ピクニックカフェ」、山賊焼きや牛タン焼きがメインの「森のグリル」、爆弾おにぎりが看板メニューの「五穀豊穣」と、素材を活かすメニューが、多彩な切り口で提供されている。「物販もメニューも社員が工夫してやり遂げてくれました。リーダーが指揮しながら、部下に任せつつすごいスピードでカタチにしていくのです。うちの現場力はすごい、と再確認しましたね」と健一氏は語る。「みんなの夢手帳」で理念やビジョンが浸透しているからこそ任せられる、経営者の理想ではないだろうか?物販の倉田部長は四十一歳。「商品開発のスピードは、やると決めて集中したら結果を結ぶのはそれほど難しくないんです。それよりも、目玉だった千日餅の機械が予定通り設置できるかどうかという、いわゆるオトナの事情が絡む案件が大変でした。無事に工房をスタート出来てほっとしています」飲食の佐藤部長は「フードコートにして正解でした。お客様が自由に選べて、川のせせらぎを感じながら、ゆったりと食事を楽しめる。メニューは全国各地を視察している会長のアイデアがあるからこそです。私一人ではとてもとても」と謙虚に微笑む。アグリエの森は、平日というのに、高齢者施設がバスで乗り入れて買い物や食事を楽しんだり、企業視察があったり、近所の主婦が乗り合って野菜を買いに来たり、家族連れが日帰り温泉の途中で立ち寄ったり、老若男女で賑わう。その様子を見ながら今野会長はユーモアたっぷりに、「あの鉄塔が隠れるように木を植えたんだよ。きちんと隠れるかどうか、若い人に見届けてもらわなくちゃ」と笑う。一方「道の駅や物産館は、もう時代のしっぽですよ。発案した時には画期的なアイデアだったんだが、許認可で手間取っているうちに、道の駅は玉石混交の飽和状態です。だからこそ、ここに並べるモノに物語を紡がせることがポイントになる」と事業家とし柔和な佐藤部長。シェフとして現場もまわす。スマートでスピード感溢れる倉田部長。秋保野菜はディスプレイもそそる。「千日餅」は製造する様子が窓越しに見られる。宮城県最大の木造建築物、「アグリエの森」。駐車場。普通車250台、大型バス10台のキャパシティ。立て看板にもまごころを感じる。5

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