茶事記73号WEB用
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●お茶のバトン●手が届く憧れのある日本茶シーンての発言は鋭い。特に購入頻度の高い野菜はノウハウがゼロゆえ苦労が多かった。秋保ゆかりの野菜は、地元の秋保石を使った水が滴る売り場に並べられ、希少性と遊び心で消費者の心をくすぐるが、量は少ない。そこで蔵王の無農薬ミネラル栽培で生産農家のグループに売り場の一部を任せた。「今日の午後に採って運んできたの。ぜひ生で食べてみて、おすすめよ」と言われて購入したカリフラワーの瑞々しいこと。カリフラワーが茹でずに食べられるなんて!スーパーとは明らかにちがう体験だった。「社長といっても、まだ試運転中だから」と笑う順子常務。「会長は、私の父から私たちの子どもにお茶のバトンをつなぐ役目だと心に決めて、こうして結果を残してくれました。こちらが元気で判断が確かなうちに息子にバトンを渡して、すべて任せて後ろで見守る。これは、社長に対してだけでなく、社員に対しても同様です。任せられてこそ、責任を感じ知恵を絞り成長する。その中で失敗もして経験値をあげていくんですよ」最後に。健一氏に日本茶の未来についてたずねた。「これだけの店舗展開をしても、当社の日本茶の売上は横ばいですから、割合として少なくなっていることは確かです。でも、私の二歳の娘はお茶をガブガブ飲みますし(笑)、日本茶がなくなることはないと思います。飲まれ方はどんどん変化していくでしょう。当社は、ハイイメージ大衆商法と言いますか、普通の人がちょっと背伸びして手が届く、そういう世界観を大切にしています。デパ地下のようなギフトありき、という売り場ではなく、セルフで手に取りやすく、自分で飲んだり食べたりしてよかったからお土産にしよう、というような雰囲気です。そういう意味で、フィルターインボトルのような新しい飲み方の提案は、手の届く憧れという側面もあって、未来を創る可能性があるのではないでしょうか。」「秋保美人」は地元の桑茶なども原料に、秋保土産として開発した健康茶だ。川のせせらぎが聞こえるフードコートに続くウッドデッキに立つ今野会長。「ここからが始まり。どう育てていくか」「アグリエの森」のロゴ入りフィルターインボトルで提案する新しい飲み方。136席のフードコート。ゆっくりした時が流れる。顔が見える関係を築く農家さん。お茶のある暮らしの豊かさを感じる喜久水庵エリア。6お茶の井ケ田株式会社本社〒980-0804宮城県仙台市青葉区大町二丁目7-23TEL:022-224-1371 FAX:022-224-1352ホームページ: http://www.ocha-igeta.co.jp秋保ヴィレッジ〒 982-0251宮城県仙台市太白区茂庭字中谷地南32-1TEL:022-302-6081 FAX:022-302-6082

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