茶事記73号WEB用
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●「つくる」と「伝える」は根っこ●永続性を判断基準に●お客様に寄り添う料確保のリスクを伴います。くばら、椒房庵に続く三本目の柱が欲しかったのです。「茅乃舎だし」は、自然食レストランで評判のだしに着目して商品化しました。職人でもうまくとるのが難しい出汁(だし)…。しかし料理の決め手でもあるだし。これを主婦の皆様が家庭で再現できるように、各素材を粉砕してティーバッグに入れ、ちょっとカンタンだけどホンモノの味に仕上げました。ティーバッグを破って料理に使うこともできます。六本木・東京ミッドタウンや日本橋・コレド室町など今では十四の直営店を展開しています。原材料に徹底してこだわったものづくり。商品の特性や使い方を伝えることには、モノづくりと同じように手間ひまをかけます。木に例えれば、伝えることは、作ることと同じ「根っこ」の部分。しっかり栄養をやらなければ、葉は茂りません。テレビコマーシャルにお金をかけて葉を茂らせても、根っこが張っていなければ枯れてしまいます。作り手の思いを表現し、商品の心をデザインするために、弊社には、デザイナーやコピーライターなどパッケージ、カタログ、広告に携わる社員が六名います。商品開発の段階から参加し、産地に足を運び、使い方の提案にも意見を出し合う。生みの苦しみを共有し、社内のあらゆる部門と連携し、お客様の気持ちに寄り添う。企画会社に外部委託して「久原本家のようなカタログを作ってよ」と依頼しても、一朝一夕にはできないという自負があります。形だけを真似しても、日々積み重ねてきた思いはマネできないのです。企業は永続性が何物にも優先します。お金は必要だが、一番大切ではありません。手間ひまを惜しまず本物を求めていくのも、永続性という判断基準があるからです。次に大切なのは、地方の旗を立てること。キャベツのうまたれの商談で「名前をノンオイルドレッシングに変えたら扱うよ」とスーパーの方から言われたことがありますが、もしそのようにしていたら現在の存在感はなくなっていたでしょう。地方の旗を立てるということは、自らの身を守ることにもつながるのです。そして、お客様の立場に立つこと。商品について、お客様はこちらが考えているほどにはご存知ないのです。そのことを前提にして伝えないと「わかっているだろう」「わかっているはずだ」という自分本位な目線になる。お客様目線と口では言いながら、作り手の思想を一方的に押し付け、自分目線に陥ることは、気をつけていても起こりますから、常に自分自身に問いかけ直しています。高度成長の時代に効率重視で捨て去ったものの中に、実は世界に発信していける日本の食文化があります。お客様の「期待」を大きく上回ったときに「感動」がもたらされると思います。「さすが」と言われ続ける企業であり続けたいです。これからも挑戦は続いていきます。茅乃舎日本橋店(コレド室町3)料理読本、商品カタログ。暮らしと食をしみじみ楽しめる自分になりたい、と感じさせる内容。何よりもすばらしいのは、社員の方たち一人ひとりの温かい対応だった。四角四面ではない、心のこもったおもてなしにすっかりファンになってしまいました。人気のだしは飲み比べて選べる。14株式会社久原本家グループ本社〒811-2503 福岡県糟屋郡久山町大字猪野1442電話:092-976-2000FAX:092-976-3155http://www.kubarahonke.com/

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