茶事記72号WEB用
7/16

●店がお客さんを選ぶ●まずは断捨離●買いたい気持ちに火を点けたいです」「専務が売上という成果で評価されるんやろということがヒシヒシ伝わってくるので、なんとか結果を出したいという思いで店に立ちますね」半年で、このモチベーションの変化!まずは何から手をつけていったのか?最初に手をつけたのは陳列だった。二十二歳の「死んだ魚の目をしていた」女性スタッフをいきなりディスプレイ担当に任命。閉店後に二人で一つずつ棚を変えていった。「自分たちがどういうお店にしたいかってことが大切。お客さんが店を選んでいるように勘違いしてるけど、実はお店がお客さんを選んでいるのです。商品のラインナップを揃えて、店格を上げて、来てほしいお客さんを明確に伝える。私たちはお客様の世代交代を乗り切ることが大目標なので、四〇代後半から五〇代前半の、常連さんの娘世代が『この店いいやん』と選んでくれるように、店のイメージを陳列から変えようと手をつけました」そうはいっても二人とも素人。「盛る」「積む」「隙間を埋める」ワザを駆使してびっしり並べた棚の商品を、断捨離のマネをして全部棚の下におろし「いるモノ」「捨てるモノ」「保留」と分け、この棚では何を売りたいのか、このエリアでは何を伝えたいのかを、絞り込んでから並べ直した。「変えるなら思い切りやろ。チマチマやるのはやめよ」が桜子専務の決まり文句だ。ベテランのパートさんはどんな雑多な商品でも「○○さんというお客さんがこの商品のファンです」と抵抗する。「一回これでやってみよ。あかんかったら元に戻すから」が桜子専務の殺し文句。「元に戻したこと、一回もないねん」と笑うが、その情熱とスピードにパートさんも巻き込まれ、今では開店前に全スタッフでディスプレイを一斉に変えるのも当たり前。鮮魚として生き返った(?!)ディスプレイ担当のスタッフは「ちゃっちゃっと指示してな!」とパートさんから頼られ、「仕掛けたらほんとに客層が変わって自信がつきました。母の日、父の日、夏の贈りもの。買いたい気持ちに火を点けるチャンスが沢山あって目が眩みそうです」と前向きだ。プライスカードもポップもサイズはバラバラ、セロテープでベタベタ貼られていたが、雑多な印象を与えるだけで、情報として目に留まらない。プライスカードを名刺サイズに統一心彩(ここいろ)コレクション。表通りから見える場所に、てんこ盛りにならないように陳列。カンタンなものにこそグレードを! 粉末系こそプレゼントしたくなるように、オリジナルパッケージをエスプリで作った。二階喫茶への動線に並ぶピラミッドの底辺を創造する安いけど安物ではない商品。大ヒットした桜緑茶。600円でも買いたいと思わせるのは、トレーシングペーパー帯の透け感。5

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る