茶事記72号WEB用
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●「安い商品」と「安物」はちがう●「正味の値段」へのギモンし、セロテープ禁止にして両面テープに変更。そもそも発信する情報を吟味する。そんな地道な努力が実って、来店客は大幅に若返った。三〇グラム五百円が基本ラインのお茶とお茶菓子「心彩(ここいろ)コレクション」や煎茶も玄米茶も焙じ茶も八グラム一五〇円の「メッセージ入り飲み切り袋」。吉村の既製品を思い切り採用していただいているが、気を付けているのは「安物」と「安い(価格の)商品」を混同しないこと。「相伝のラインは茶専門店として絶対守らなあかんけど、ピラミッドの頂点でハードルが高い。頂点に誘うアイテムが、心彩(ここいろ)とメッセージ袋です。吉村さんの既製品の資材を使うことで、商品化のスピードが上げられ、在庫の負担が少なく、シリーズのバラエティが広げられ、失敗したらすぐやめられる。一方油断すると雑貨屋さんのようになりますから、どうやって専門性を感じられる編集をするかがポイントです。デザイナー兼企画担当のスタッフが、私の言葉を二〇〇パーセントのアウトプットで編集し統一感を出してくれています」綿貫先生のデザインが好きで昨年四月に入社したデザイナー兼企画担当の女性スタッフは「お茶屋さんてバカ正直で不親切。たとえば京都産百パーセント石臼挽き抹茶使用なのに、パッケージにもポップにも書かず栞もつけない。いくら商品力があっても、そういうオーラを商品から出してなければ伝わらないですよ。よく『正味の値段』と言うけど、栞も店も接客もパッケージもポップも含めての価格で主婦が購入するっていうことがわかっていない」と厳しい。どんな意見も率直に言えること、言ったからにはなんとかしたいと動くスタッフの現場力。「変えるのはイチかバチか。変えたら下がる可能性はあっても、変えたら上がる保証はない」と覚悟を決めた獅子奮迅の変革が、日本茶を次世代に受け継いでいくのだな、と実感した取材だった。心斎橋本店:〒542-0085大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-4-20TEL:06-6252-7800 FAX:06-6245-0289ホームページ: http://www.uji-en.co.jp/女子会のようなミーティング。「愛し母(いとしも)」デザイナー兼企画担当スタッフが仕入れ先の門戸を叩き商品化した。一人時間の贅沢なお茶として、ガラス茶器と花新茶。カーネーションの花びらも入れた。6株式会社宇治園

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