茶事記72号WEB用
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積極的な経営で明日を拓く企業をご紹介するこのコーナー。今回は大阪心斎橋の宇治園様の本店にお伺いしました。京都山城で仲買人として明治二年に創業し、昭和十六年に大阪に小売店舗として進出、という歴史を持つ宇治園さんですが、現在も、抹茶スイーツ、和カフェ、上海進出と、未来に向けて果敢に挑戦されています。取材をお願いしたのは、二〇一三年十一月に専務取締役に就任した重村桜子さん。二〇一三年九月、上海に和カフェ「茶の彩(ちゃのいろ)」オープンの時には、中村会長のもと現場のスタッフの一人として奮闘し、その後ショップのまとめ役として、現場の女性スタッフを巻き込んで大きく店舗を変革されています。「めっちゃ指が折れるくらい必死でしがみついてってます!」とスタッフに明るく言わせる「桜子流内発的動機づけのプロセス」に焦点を当ててご紹介します。株式会社宇治園●ケミストリーを生むおしゃべり●「売れるモノを売る」のではなく「売りたいモノを売る」店を目指すクローズアップ・ピープル経営者登場44吉村の内覧会で、勉強会が終わった後も同行した社員さんと話が尽きず、いつしか社内ミーティング。とにかくよく喋る、突っ込む、ボケる、笑う。ものすごいスピード感だ。「お母さんの贅沢ってどんなイメージ?」「案外ひとりの時間かな?」「うちの娘、こんなんくれてん、って友だちに自慢するようなんがいいな」「日本茶にお花とか入れられるやろか?」「カーネーションの花束はないけど、お茶の中に花束が入ってますよって言いたいな」「花新茶!ええなあ!」「茶器はガラスやな。それもちょっと手が出ないええもん」まるで女子会のノリで、イメージはどんどん広がっていく。中心は専務取締役の重村桜子さん。二〇一三年七月に社長に就任した夫から「これからのショップは女性の力で」と三十七人抜きの大抜擢で専務取締役に任命され、本店初の女性店長就任。現在十三店舗のショップのまとめ役でもある。「宇治園の子会社、グリーン商事の経理部に十年いましたが、店舗の経験も知識もゼロ。どうしたらいいんやろ、と茫然としました」社長から、『自分ならこの店に入りたいか?』という客観的な視点で見てみたら、とアドバイスされ、毎日毎日外に立ってじーっと本店を眺めた。心斎橋大丸の真正面の立地で人通りは多い。間口いっぱいに商品が陳列され、一番いいところには二つで千円の抹茶のお菓子。奥の喫茶への入店客は、店内はただの通路でしかないように商品に目もくれずに歩き、年配のお客さん以外は素通り。「外から見たら、お茶屋のドンキホーテ。大阪のお土産物屋さんにしか見え専務取締役重村桜子氏女子力が日本茶を救う?!顧客の世代交代を促す店舗を実現。表情豊かな桜子専務。ベテランパートさんが惚れた商品は売れる! ? オススメパワー全開!3

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