茶事記72号WEB用
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●ブランディングされた看板茶●LINEとミーティング●なんとか売上という結果に結びたいへん。売りたいモノを売る、のではなく、売れるモノを売る、という中でこういう店になったんやな、と気づきました」宇治園には、看板茶が二つある。深蒸し煎茶の小佳女(おかめ)と焙じ茶の火男(ひょっとこ)だ。平成五年に顧問契約した綿貫宏介先生がデザインしたパッケージで、リーフ、ティーバッグ、生ショコラ、アイスクリームなどの展開をして、宇治園のブランドを支える看板茶だ。見た目は良くないが味はべっぴんの「小佳女(おかめ)」は百グラム千五百円。黄金色の焙じ茶「火男(ひょっとこ)」は八〇グラム千円。「切っても切り離せない相性の良い二人」として紹介され、商品コンセプトも明快なのだが、桜子さん自身も友人へのプレゼントに自社の商品は使いにくかった。「目上の気の張る方に差し上げるのならいいんですが、実際は気軽なプレゼントの機会の方が圧倒的に多い。無理して小佳女(おかめ)を差し上げながら、これは使いにくいな、と思っていました」実際に若い女性スタッフに聞くと「そもそも宇治園の商品を買おうと思ったことがない」と言われ愕然とした。「まずはこの子達を巻き込まなあかん」と心に刻み、ミーティングをスタートさせた。その当時は大量陳列に疑問を持っていなかった若手スタッフは、月二回のミーティングとLINEの活用で、活発に意見を出すようになった。喫茶部店長、本店ディスプレー担当、ネット店長、企画デザイン担当、彼女たちは口々に言う。「桜子専務が本店の店長になってから、劇的に変わりました」「入社して七年、宇治園の商品に全く興味なかったです。単に仕事だから言われたことをこなすというだけの日々やった」「専務から意見を訊かれるので、段々考えるようになって、今は店の外に出てもかわいいもんが目につくと、これってうちの店でも応用できるかな、と思って自腹で買ったり(笑)」「先日ネット店長に任命されて、外部の方とも話すようになって、若い自分でも意見を言っていいんだなって、世界がどんどん広がって楽しい。いっつも企画のネタを探してる感じ」「私は喫茶担当ですが、以前は店舗の商品で知っていたのは小佳女(おかめ)だけ。後はいっぱい商品が並んでいるなあ、というくらいの知識で、喫茶にいらっしゃったお客様にお茶を買ってもらいたいなんて気持ち、全然なかったですよ。今は喫茶と物販が連動して相乗効果を生むことが目標店頭は母の日。「心の母プロジェクト」というネーミングのセンスもスゴイ!喫茶メニューには、必ず上質のお茶がついてくる。小佳女(おかめ)と火男(ひょっとこ)の相伝シリーズ。「お茶、いいかも」と憧れを誘う陳列。4

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